超音波治療法の特徴とメリット

■超音波治療の特徴について

超音波治療法は、主に温熱作用と非温熱作用に大別することが出来ます。

超音波治療器には、トランスデューサやアプリケータといった部品に、振動子が組み込まれており、振動子から発生される機械的振動によって音波が発生し、その音波エネルギーを生体組織に照射させる事で、治療を行ないます。

超音波エネルギーの出力形態は、連続波形とパルス波形があり、連続波形は主に温熱作用をもたらし、パルス波形は非温熱作用(機械的作用)をもたらします。

非温熱作用の具体的な生体への作用機序ですが、細胞の修復を促進したり、腫れを軽減作用、トリガーポイントを治療する場合などが、主に挙げられます。

それに対して、温熱作用の作用機序は、血流量の増大・痛みの軽減・慢性や亜急性の炎症の軽減・コラーゲンの伸長性増大などが挙げられます。

 

■超音波治療においての各種パラメーターについて

超音波治療を施術する場合には、「周波数」「強度」「治療時間」などを適切に設定する必要があります。

ここでは、上記に挙げた各種パラメーターをどういう風に設定していけば良いのかについて、解説をしていきます。

 

①超音波治療における「周波数」によっての治療域について

超音波治療において、組織への浸透力の深さは、強度ではなく周波数に依存します。

具体的に説明すると、1MHzの周波数は約2-5㎝の深部まで温めることが可能であり、3 MHzの周波数は、約2㎝までの表皮の部分で吸収されてしまいます。

なので、1MHzは深部、3MHzは浅部と覚えておくのが良いでしょう。

 

②超音波治療に使用する「強度」について

超音波治療で一般的に使用されている強度は、1.0~1.5W/cm^2になります。

人によっては、浅部組織を治療する場合は0.5 W/cm^2位の低強度、浅部組織を治療する場合は、1.5W/cm^2以上の強度を勧める場合もあります。

周波数が1MHzの場合(深部組織)は、一般的に1.5~2.0W/cm^2の強度を設定する場合が多く、3MHzの場合(浅部組織)は、0.5W/cm^2の強度で十分であると言われています。

超音波治療の場合は、周波数が高くなるに連れて浅部組織へのアプローチになるので、低出力であっても、十分な効果を挙げられます。

実際には、患者さんの報告に応じて強度を調節することが多く、治療を開始して2-3分以内に温熱を確認出来なければ、強度を上げて、仮に不快を訴えるようであれば、強度を下げて調節をします。

また、治療領域によって表層に骨がある場合にはやや低い強度でも、十分な温熱を感じることがありますが、これは骨に反射した超音波が温度上昇に大きく関わってくるからです。

 

③超音波治療に使用する「治療時間」について

治療時間は、使用する強度・周波数によって、患部にどれだけの温度上昇が必要なのかといった治療目的によって、変わってきます。

そして、温度上昇による生体への作用は下記のようになります。

・1℃の温度上昇:組織への新陳代謝を促進します。

・2-3℃の温度上昇:筋スパズムや痛みの軽減に作用し、慢性の炎症を軽減します。

・3-4℃以上の温度上昇:コラーゲンの伸張性を増して、交感神経を抑制します。

例を挙げると下記のようになります。

Draperという研究者が1995年に発表した内容によると、1MHzによる温度上昇は、強度1.0W/cm^2を用いた場合は0.2℃/分、強度1.5W/cm^2の場合は0.3℃/分であると報告しています。

3MHzによる温度上昇は、強度1.0W/cm^2を用いた場合は0.6℃/分、強度1.5W/cm^2の場合は0.9℃/分であると報告しています。

以上より、3-4℃以上の温度上昇を狙うためには、1MHzの周波数で1.5W/cm^2の強度の場合では、10-12分の治療が必要であり、3MHzの周波数であれば、3-4分の治療時間が必要となります。

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