低周波治療器の吸引カップについて

治療器関連

目次

1.低周波治療器の吸引カップの上手な装着方法

2.吸引カップの形状と吸着性能の関係

3.低周波治療器の吸引カップによるポンピング機能とは

4.電極面積による体感に違いについて

 

業務用の低周波治療器には、家庭用の低周波治療器と違って、吸引方式の電極が搭載されている事が多いです。

 

それは、吸引方式の方が粘着方式の電極と比較して、患部に装着するのに手間が掛かりませんし、粘着方式は半ディスポなので、ある一定期間使用した場合、取り替える必要があります。

 

それに対して、吸引方式の電極であれば、介在物としていれるスポンジがボロボロにならなければ、何年も使用することが可能です。

 

特に1日に何百人も来院される整形外科などにおいては、毎回粘着方式の電極で治療を行なっていたら、患者さんを効率良く回していくことが出来ませんし、すぐに粘着方式の電極は粘着力が低減して、使いものにならなくなってしまいます。

 

こういった治療する側の背景もあり、業務用の低周波治療には、大抵の場合、吸引方式の電極が搭載されています。

 

今回の記事では、業務用の低周波治療器の吸引カップについて、その装着方法や吸着するメカニズムなども含めて、吸引カップとはどういう風に扱っていけば良いのか、包括的にご紹介していきたいと思います。

 

 

1.低周波治療器の吸引カップの上手な吸着方法

吸引カップがなぜ患部に吸着することが出来るのかというと、本体装置内にある吸引ポンプが常に吸引カップ内部の空気を吸っていて、吸引カップを患部に装着した場合に、カップ内部が真空になることで、吸引カップが患部に吸着するというのが、まず大まかな原理になります。

ここで、大事な事は「吸引カップ内部が真空圧」にならなければ、吸引カップは患部に吸着出来ないという事です。

 

逆にいうと、「カップ内部が真空圧」になれば、容易に患部に吸着させることが出来ます。しかし、注意点として、吸引カップを患部に吸着させるには、ちょっとしたコツが必要になってきます。

 

それは、カップを患部に吸着させる時に、カップの縁と患部との間に、「スキマ」を作らないことです。

 

なぜかというと、「スキマ」があることによって、カップ内部が真空圧に到達することを阻害する要因になるからです。

 

特に、膝や肘などの湾曲部においては、カップの縁部と患部との間に「スキマ」が出来やすいので、吸引カップが吸着したと思って、カップから手を離した瞬間に、カップが外れてしまうといった現象は、よく発生します。

 

そういった外れてしまう現象を回避するためには、下記のような方法を試してみて下さい。

 

まず、吸引カップの持ち方ですが、カップの端部に指が掛かるようにして、カップの中央部を抑えながら、カップの両端部を引き上げるようにして、カップを変形させます。

 

そして、その変形したカップを保持しながら、カップに装着させて、1~2秒程度、カップを患部に押し当てるようにします。

 

このような手順を取ると、吸引カップは、比較的吸着しにくいといわれる肘部や膝部においても、容易に吸着させることが可能です。

 

このようなやり方に患部に吸着させた吸引カップは、治療中でも、外れることはありません。中途半端に吸着させたカップは、治療中に外れてしまうことが多々あり、その都度患者さんにも、嫌な思いをさせてしまう要因になります。

 

最初は少し面倒であっても、今回紹介している方法を是非試して頂ければと思います。

 

 

2.吸引カップの形状と吸着性能の関係

ここ最近の吸引カップは、昔からある吸引カップと違って、カップ自体の高さがだんだんと低くなってきています。

 

高さが低くて薄いカップであると、服を脱がないで、服を着たままで、背中などの患部に吸着出来るので、最近の傾向としては、薄型のカップが色々と出てくるようになってきています。

 

しかし、吸引カップが薄い事は良いことばかりではありません。

吸引カップの形状が薄い事と、吸着性能は、実は相反する関係になっています。

 

というのも、肘や膝部などの湾曲に対しては、カップの縁部との「スキマ」を作らないことが、うまく吸着させるポイントだと上記で説明しましたが、薄い形状のカップであると、カップの縁部が患部に回り込みにくいので、「スキマ」が出来やすいのです。

 

つまり、「スキマ」が出来やすいことによって、吸着しくいといったデメリットが生まれてしまいます。

 

この吸着しにくいといったデメリットを回避するためには、肘や膝などの湾曲部を避けて、比較的平たい患部である「腰背部」などに吸着させるといった患部を選ぶことや、本体側の吸引圧を上げることが挙げられます。

 

従来方式のお椀型の吸引カップであれば、比較的オールマイティに、どの患部にも容易に吸着しますが、薄型タイプの吸引カップは、カップの性質上、吸着性能が落ちるのは避けて通れないので、そういうものだとある意味割り切って、使い分けるのが、使い方としては、ベストだと考えます。

 

 

3.低周波治療器の吸引カップによるポンピング機能とは

業務用の低周波治療器には、「ポンピング機能」が付いています。

「ポンピング機能」とは、一言でいうと「うっ血防止機能」と考えて下さい。

 

吸引方式の電極を患部に吸着させて場合、患部には常に電極がある一定の力で、電極が張り付いた状態になっています。

 

その電極の下の皮膚(患部)は、常に金属の電極におって、押さえつけられているので、当然血流は悪くなり、血液の流れが滞り、うっ血状態になります。

 

うっ血になると、特に女性の場合だと、患部にうっ血痕が色濃く残ってしまう状態を嫌がるケースもあるので、吸引カップ内部の吸引圧に変動幅を持たせることによって、常に患部を電極が押さえつけている状態を回避して、よりうっ血痕が残らないような状態にしたのが、ポンピング機能となります。

 

ポンピング機能はうっ血防止機能としては、本当に良いのですが、使用する場合は、吸引圧を少し高めに設定する方が良いでしょう。

 

なぜなら、カップ内部の吸引圧が大気圧に近づいた時に、カップは元の状態に戻ろうとする挙動を示しますが、その時にカップが患部から外れる確立が高くなるからです。

 

吸引圧を高めに設定すれば、カップが患部により吸い付いた状態での範囲で、カップがポンピング動作をするので、より外れにくくなるといったメカニズムです。

 

 

4.電極面積による体感に違いについて

吸引カップ内部にある電極は、その電極面積に応じて、体感が全く変わってきます。

電極面積が小さい場合は、通電した場合に「ピリピリ」とした体感が出やすく、電極面積が大きい場合には、通電した場合に「マイルド」が電気刺激として体感を得られやすくなっています。

 

なぜこのような現象が起こるかというと、それは単位面積あたりに流れる電流量が変わってくる事が、体感の差となって生じるからです。

 

器械本体は一旦流す電流量をセットすると、その電流量を流そうとします。

そして、その電流が流れる出口は、電極になる訳ですが、電極面積が小さければ、単位面積あたりの電流量は多くなり、逆に電極面積が大きければ、より広範囲に電流が流れるので、単位面積あたりの電流量は小さくなります。

 

こういった事によって、電極面積は電気刺激の体感に大きく関わってきており、電極の出来栄えが、患者さんの体感に大きく関わってくるので、極論をいうと、電極の品質が製品自体の評価に関わってくると言っても過言ではありません。

 

もちろん、電極に塗布する水分量や患部の状態にも、体感は影響してきますが、電極面積が体感に大きく影響してくるということは、意外と分かっていない人も多いので、頭の隅に入れておいて、損をすることはないでしょう。

 

患者を施術する立場であれば、電気に弱い人に対しては、より電極面積が大きい電極で治療を行うなど、うまく使い分けが出来れば、とてもベストだと思います。

 

 

如何でしたでしょうか?

ここまで、業務用低周波治療器の吸引カップについて、包括的に説明をしてきました。

業務用の低周波治療器の吸引カップの扱い方については、一般ではなかなかその扱い方まで説明している記事はないと思いますので、少しでも吸引カップの扱い方について、疑問を持った方に対して、参考になれば幸いです。

 

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